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Biological Stories 14


第14回 なぜ紅葉し落葉するのか 

(第1回)植物は食べない(1)
 
 「多細胞生物の死は避けられぬ運命」の話はまだ最終回をむかえていませんが、その最終回はしばらくお待ち頂いて、本日から少々寄り道にお付き合いください。
 え? インフルエンザのエッセイを書いている間にテロメアの原稿でどんなことを書くつもりだったか忘れてしまったなんてことはありませんよ。(作り笑)

 皆さんは、夏に緑だった木々の葉が秋になると赤や黄色にかわり、冬が来る前に散ってしまうのを疑問に思ったことはありませんでしょうか? ここで質問です。

問1.樹についている緑色の葉と、紅葉ののち落葉した葉。どちらに栄養分がたくさん含まれているでしょう?
 
 緑の葉の方ですか? その通り。大正解です!
 なんとなく新鮮なモノほど栄養分が豊富な気がしますね。では、次はちょっと難しい質問を・・・。


問2.樹についていて緑色の葉と、ちぎってしばらく放置し枯葉色に変色してしまった木の葉。肥料にしたとき「植物にとって」どちらがより栄養豊かでしょうか?
 
 やはり「緑の葉」の方でしょうか? たしかに新鮮なモノほど栄養分が豊富な気がしますね。
・・・しかし、今回は不正解です。「緑の葉」の方が栄養分が多いわけではありません。
植物の栄養源に「新鮮さ」は、なんの意味もないのです。
 これがどういう事なのかご理解いただくために、さらに問題にお付き合い頂きたいと思います。


 問3.植物の根元に「神戸牛のステーキ(生肉・味付け前)」を埋めたとします。
 もし植物に意識があるとすれば、植物はどう思うでしょうか?
(1) うれしい
(2) めいわく
(3) どうでもいい(無関係)


 「(2)めいわく」を選んだ方。残念ですが不正解です。この生肉はいずれ肥料となり、植物の栄養分となりますので「迷惑」ではないのです。
 では正解は(1)なのでしょうか? はい。(1)は立派に正解です。肥料(=栄養源)をもらえたのですから嬉しいでしょうね。
 しかし、この問題には「隠されたもうひとつの正解」があるのです。それは・・・
 
(3)どうでもいい(無関係)

 これです。
 じつは「(1)うれしい」のは長期的に見た場合なのです。生肉が根本に埋められた直後は、・・・いや、たとえどんなに根に近い場所に埋められた場合でも、植物はその生肉の中の栄養分を利用出来ないのです。

 かつて(数百年前)人類は植物を誤解していました。
 「植物は動物の逆立ちした姿である。動物では下半身についている生殖器は植物では地上部についており、動物で上半身についている摂食部=口は植物では『根』として地下に存在している」と。
 
 いまでも「根は動物の口にあたり、根から死体や動物の排泄物に含まれる栄養分を吸い上げている」とか「植物は死体を食っている」と誤解しておられる方がおられるかも知れません。しかし植物は有機物(生命体を構成している大きな分子)を吸収することが出来ないのです。そもそも「消化」する事が出来ませんし・・・。

では、肥料とは一体何でしょう? 有機物の利用が出来ないのになぜ生物の死体や枯死体が肥料として意味を持つのでしょう? その謎の解明は次回のお楽しみということで。

(第14回 終わり。 文責:上田@生物)
  
 
From 住吉校の部屋

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