Biological Stories 19
第19回 北極と南極はどちらが寒い
(第1回)海と極地
先週までとはテーマを変えまして、今週は極地の話をしたいと思っております。
今週は地理なのか?と思われるでしょうが、そこはこのブログのこと。ちゃんと生物と関連しつつ進めていきますのでよろしくお願いいたします。
せっかくですのでお読みになる前に北極と南極、どちらがより寒いか予想してみると面白いかも知れませんね。寒いのは北極でしょうか?それとも南極?それとも平均気温の差は誤差程度で、ほぼ似たような気温なのでしょうか。
皆様の答えが用意できましたところで、お話をはじめていきましょう!
血潮は流れる。海も流れる
血液を「血潮」と海を思わせる名で呼ぶのは、決して偶然ではありません。我々のはるかに遠い・・・、地球がまだ若かった頃に現れた遠い先祖が「体内に閉じ込めた海」を子孫に伝えつづけたものが我々の血液だからです。(日本語を作った我々の先祖は、直感か鋭い洞察かによって生命科学が発達する以前から科学的真実を言い当てていたのでしょう)
ですから血液は海と少し似たところがあります。・・・通常、高校や大学の生物の授業では、溶け込んでいる無機成分の構成比をその「似ている部分」として習うことが多いのですが、ここでは海と血液の「働き」の類似性を考えてみることにしましょう。
血潮は「運搬のための体液」
高校の生物では動物の体に蓄えられた細胞外水分を「体液」と呼びます。
(ちなみに植物にはいわゆる「体液」は存在しませんので、入試問題に「植物の体液が〜〜」という選択肢が出てくると「引っ掛け選択肢」として処理できます)
その体液は脊椎動物では、「血液」、「組織液」、「リンパ液」の3つに大別できます。
組織液とリンパ液の説明は専門的になるので授業や教科書にお任せするとして・・・。
血液は働きの面からは「運搬用体液」と称すべき存在です。我々の体内に、他にこんなにも動き回る存在は他にありません。
では、いったい何を運んでいるのでしょう。
…まず、酸素と栄養分です。
我々の体を構成している細胞は、単細胞生物では考えられないほどの密度で集まっています。
多細胞生物の細胞はなぜそれほどの密度で集合できるのでしょうか。逆にいえば単細胞生物はなぜ高密度に集合できないのでしょうか。
それは単細胞生物の場合、個々の細胞が独力で生存に必要な酸素や栄養分を調達しているからです。
ですから一定以上の密度細胞が集合してしまうと、各細胞に酸素や栄養分が行き渡らなくなってしまうのです。
それに対して多細胞生物の場合は細胞が集合し協力し合って構成された「個体」が個々の細胞が必要とする栄養分と酸素をまとめて取り込んでいます。
そして、それを「血液」という物流システムで各細胞に分配しているのです。
さらに血液の運ぶ「もの」は栄養分と酸素にとどまりません。
各細胞が排出する老廃物と二酸化炭素、あるいは細胞同士の働きを連携させるための「細胞間情報物質」であるホルモン。そして、さらに物質ではありませんが「熱」も血液によって運ばれます。
まさに「流れるものは運ぶ」のです。
海と極地
さて、今回のテーマ、「北極・南極」が海とどのような関係にあるかを考えてみましょう。
北極は海そのものです。北極の氷の下には今でも液体の海水が存在しています。
それに対して南極は大陸です。周囲を3つの大洋に覆われてはいますが南極そのものは陸地であり、氷の下には南極大陸の陸地が隠されているのです。
さて、先ほどの血液の働きを思い出してみてください。
「流れるものは運ぶ」の原則に当てはめて考えれば・・・。
北極の下には海水が存在しています。しかし南極の場合氷の下は大陸で、そこに流れ込んでくる海水は存在しないのです。
続きと問題の答えは、来週までのお楽しみという事で。
それでは失礼いたします。
(第19回 終わり。 文責:上田@生物)
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