Biological Stories 16
第16回 なぜ紅葉し落葉するのか
(第3回)植物は水を何に使っているのか
植物は、晴れた日水分をたくさん吸収するという性質があります。
植物は雨の日よりも、むしろ晴れた日たくさん吸収するといったら驚かれるでしょうか?
もちろん、水分がなければ吸水出来ませんから、冒頭の話は「土壌中に充分な水分があるならば」という前提条件がつくのですが・・・。
さて、では晴れた日に植物がたくさん水を吸う理由は何でしょう?
植物は思ったより光合成に水を使っていない
中学の理科の時間、光合成は「二酸化炭素と水を光のエネルギーでデンプンに変える生命反応」と習った記憶がありませんか?
その知識を基に考えると、
晴れた日 → 光合成が盛んに行われる → 水をたくさん使う
と思われるかも知れません。
では、植物が吸収する水分のうちどのくらいが光合成に使われるのでしょうか?
・・・化学的には水3gの利用により糖5gが光合成されます。
ところで植物を栽培しておられる方は毎日だいたい大体どれくらい水を与えていますか? コップ一杯分(180g)くらいでしょうか?
もしその水の全てが光合成に使われるとしたら、毎日300gくらいづつ成長することになりますね? となれば、3日で1キロ、1ヶ月で10キロほど成長する計算になりますが実際はどうでしょうか?
…そんなには大きくなりませんね。
じつは植物が吸収する水分500g位のうち光合成に利用されるのはわずか1g程なのです。つまり499g分は光合成に使われることなく大気中に放出されています。
植物は汗をかけない
植物は移動できません。ですから日照がきついときも日陰に隠れて暑さをやり過ごすことは出来ません。さらに汗で体を冷すこともできません。
しかし植物も生物ですから、高温には長時間耐えられません。
・・・そこで、植物は水の蒸発熱を利用して葉の温度を下げています。つまり葉の中で水分を水蒸気に変え気孔から逃がすことで葉の温度を下げているのです。これが「蒸散」です。
ただ、気孔を開くと自動的に水蒸気が逃げてしまうので、水分を蒸発させる必然性が無いときでも(二酸化炭素を取り込もうとして)気孔を開くと、それだけで水蒸気が逃げていってしまいます。
つまり光合成が盛んに行われるような晴れた日には、二酸化炭素を取り込もうと気孔を開くのでたくさんの水分が蒸散してしまうのです。(これが晴天時に盛んに吸水が行われる理由です)
このため、1gの糖分を光合成するごとに500gもの水分を空気中に逃がしてしまうことになります。
逆に雨の日は日照が弱く光合成があまり行われません。ということは気孔を開く必要もありませんから水分が逃げにくく、水が出て行かないから吸水する必要も無い、・・・と、こういうことになります。
植物にとって葉とは光合成器官であると同時に、最大の水分の出口なのです。
・・・ということは気温が高く水分が豊富にある時期ならばともかく、水分が乏しく気温も低い時期には、葉は存在しているだけで植物におおきな負担になると考えられますね。
(第16回 終わり。 文責:上田@生物)
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