数学のススメ 〜ちょっとの「差」にご用心?〜
先日、テレビのクイズ番組で次のようなクイズが出題されていました。
「問題。この熱帯の密林にしか生息していない○○○○という鳥がいます。近年絶滅が危惧されているのですが、現在の生存数はいくらでしょうか?」
解答者が4人。ちょうどの数字を当てた人には2ポイント、もしいなくても最も近かった人に1ポイントが与えられるというルールでした。
「さあ、皆さん。ボードを一斉に出して下さい。」
「330かな」
「ずばり777です」
「2000!」
「5匹」
「解答がかなり分かれました。一番少ないのが…、5匹の××さんで、一番多いのが…、2000の△△さんですね」
「誰だよ、777なんて都合よい数字を書いたのは。アホちゃうん?」
「2000もいたら、絶滅危惧種になんてならないのと違う?」
「5匹って……。どこからつっこんだらよいのやら……。そもそも鳥は匹で数えるものやった?」
出演者達の醜い争いはともかくとして。
正解は150で、ニアピン賞として「5匹」と解答した人に1ポイント与えられました。
その後のことはあまり覚えていないのですが、私はすごく「違和感」を感じたのでした。
この番組では、「引き算」した「差」が一番小さかった解答者を正解にしています。この点については異論はないでしょう。
しかし、次のように視点を変えるとどうでしょうか。想像してみて下さい。
この生物が5匹だけ生息している状況。
この生物が150匹だけ生息している状況。
この生物が330匹だけ生息している状況。
「差」で近似すれば確かに5の方が330よりも150に近いけれど、実際の状況を考えると330の方が「近い」状況と言えるのではないでしょうか。
私としては「330」と書いた人に1ポイントを与えたいと思います。
問題はどうやって?
ここで「割り算」すなわち「比」を使う方法を考えてみましょう。
この問題では正解の150に対して「差」ではニアピンとなった5は「30倍」も違うのに対して、330なら「2.2倍」しか違わないですよね。
さらに意地悪く言えば、「マイナス5匹」と答えても差で考えるとニアピンになってしまうのです。
何もかもを「差」でとらえることのおかしなことをわかってもらえたでしょうか。
電車内で学校の英単語テストの結果を大声で話している2人組の男の子がいました。
英単語1000個から20個が出題され、90点未満は追試を受けないといけないようです。
彼らは85点。たった「1個」のミスで何でこんなことしないといけないのかと愚痴をこぼしていました。
ここでよく考えて下さい。本当に「1個」なんでしょうか。
「たまたま覚えていない単語が出た」そうかもしれませんが、そうとは言い切れないでしょう?
割合で考えると、3問ミスということは、1000個の英単語のうち、「150個」も覚えていないことになります。
数を比較するということは、全体に対して、どういう基準で考えるのかが大切だということです。(MH)
数学は頭脳の正しい編成を促し、その能力を発展させ、数学以外の分野でも頭脳が正確に働いて真実と誤りを見分けることに習熟するまでその能力を強化してくれる。――(フランクリン)