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英語deエイガ101 『潜水服は蝶の夢を見る』 第80回アカデミー賞シリーズ 〜この映画のために大津の滋賀会館シネマホールまで出張してまいりました〜

原題LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLION/2007フランス=アメリカ/1時間52分

第80回アカデミー賞ノミネート 監督賞/脚色賞/撮影賞/編集賞
第65回ゴールデン・グローブ賞 監督賞/外国語映画賞受賞
第60回カンヌ映画祭 監督賞/高等技術賞受賞
第64回ヴェネチア国際映画祭 グッチ・グループ賞受賞

「身体は”潜水服”を着たように重くても、ぼくの想像力と記憶は”蝶”のように自由にはばたく」

監督:ジュリアン・シュナーベル『夜になるまえに』
原作:ジャン=ドミニク・ボビー「潜水服は蝶の夢を見る」
出演:マチュー・アマルリック『ミュンヘン』、エマニュエル・セニエ『赤い航路』、マックス・フォン・シドー『ペレ』、マリ=ジョゼ・クローズ『ミュンヘン』(→この女優さんお気に入りになりました)

「ぼく」(=ジャン)は目覚めると病院のベッドの上だった。言葉を発しようとしても医者には届かない。間もなくして自分は「ロックト・イン・シンドローム」(閉じ込め症候群)だと知らされる。「脳と脊髄の間が壊れて体が麻痺しています」と医者は言った。身体の中で動くのは唯一「左目」だけだった。今まで超有名雑誌ELLEの編集長だった彼の人生は一変してしまった。
そこへ彼とコミュニケーションを取るため語学療法士アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)がやってくる。彼女は頻度順に並べたアルファベットの表を持ってきて「私が順にアルファベットを読みあげるから、止めたい時にはまばたきを1回してください。単語が終了したらまばたきを2回してください」と告げる。絶望の彼は「私は…望む…死を」とアンリエットに伝えるのだった。
しかし彼は一人ではなかった。内縁の妻と子供、友人、そして父。彼は皆に生きる勇気をもらい「自分を憐れに思うのはよそう。本を書こう」と考えた。そしてまばたき20万回による彼の自伝がスタートするのだった。

映画の出だしはジャンの視線でカメラが設置され、不自由な生活を観客に共感させる。後半は普通の俯瞰で映画は進行していく。独特の撮影と編集によってこの映画は実際にジャンの気持ちと同化していくことが可能になる。彼は身体が動かず不自由な状態を潜水服(昔の宇宙服のような思い感じの服)と例え、その状態でも自分の知識と想像力でどこへでも旅行できる自由な状態を蝶と例えている。ジャンは一度は「死にたい」と言ったにも関わらず、どうして生きる勇気を得たのか? それはいつも見ていた自然や情景がいつもとは違う風に見えたからだ。「人間は大事なものを奪われなければそのありがたみが分からないのか?」という普遍的なテーマを扱うことによって、命の大切さん、友人の大切さ、家族の大切さ、そして何気ない日常の大切さを観客は痛感させられる。

まさに私がこの「英語deエイガ」シリーズで訴え続けてきた「生きることの大切さ」を真正面から捕らえた映画である。しかしこの映画は重い空気で映画通しか理解できない作りをしているわけではない。全身麻痺の状態でもジョークを言ったり、(当たり前だけれども)みんなと同じ感情を持っていることが分かるシーンによって、誰でもがこの映画に入っていけるのである。

今回は私のテーマにピッタリなストーリー展開とあっぱれの編集、脚本によってめでたく第3位ということで。パチパチ。結局私のベスト映画は涙の出る量によって決まっていくんだなあ。

文中に登場したsyndrome(シンドローム)とはいわゆる「…症候群」という意味だが、病気以外にも「兆候」のような意味で用いられることもある。昔、映画にもなったChina Syndrome(チャイナ・シンドローム)とはアメリカの原子炉事故の影響が地球の裏側の中国にまで届く(のではないか)という内容の意味を指している。(TK)

2008年度ロードショウ 独断と偏見のランク付け
1.母べえ
2.ガチ☆ボーイ
3.潜水服は蝶の夢を見る(第60回カンヌ映画祭 監督賞/高等技術賞受賞)
4.魔法にかけられて
5.テラビシアにかける橋
6.ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(アカデミー主演男優賞/撮影賞)
7.アイ・アム・レジェンド
8.スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(アカデミー美術賞)
9.バンテージ・ポイント
10.4ヶ月、3週と2日 (2007カンヌ国際映画祭パルムドール)
11.ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記
12.モンゴル
13.アメリカン・ギャングスター
14.クローバーフィールド
15.エリザベス:ゴールデン・エイジ(アカデミー衣装デザイン賞)
16.ライラの冒険 黄金の羅針盤(アカデミー視覚効果賞)
17.ノーカントリー(アカデミー作品賞/監督賞/助演男優賞/脚色賞)
18.つぐない(アカデミー作曲賞)
19.フィクサー(アカデミー助演女優賞)
20.アイム・ノット・ゼア
21.シルク
22.エイリアンズVSプレデター
(2007年12月公開のお正月映画から含む)

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