英語deエイガ114 『告発のとき』 (公開中)/2008年度アカデミー賞特集
原題IN THE VALLEY OF ELAH/2007年/アメリカ/121分
監督・脚本:ポール・ハギス『ミリオンダラー・ベイビー』(脚本)
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン
缶コーヒーのCMの宇宙人役で日本人にもお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ。抜群の脚本で有名なポール・ハギスと組んだ最新作はイラク帰還兵の殺人事件にインスパイアされたという映画。トミー・リー・ジョーンズは2008年度アカデミー主演男優賞ノミネートです。
トミー・リー・ジョーンズは軍警察の退役軍人。息子のマイクはイラク戦争で戦ったあとやっとアメリカに帰還。しかしマイクが行方不明との連絡を受け、軍施設へ向かう。数日後、バラバラ焼死体となったマイクが発見される。一体事件の真相は何か? トミー・リー・ジョーンズは自分の経験を活かして真相にせまるのだが、その衝撃の事実とは…。
トミー・リー・ジョーンズは息子の無残な姿を見ても取り乱したりしない。捜査も冷静だ。おそらく息子の死は覚悟の上だったのだろう。ましてやイラク戦争に送ったのだ。死とは常に隣り合わせなのだから。だからといって妥協はしない。真実を知るまでは決してあきらめない。そのためには協力をしてくれる警察(シャーリーズ・セロン)にも妥協しない。静かな演技にも絶妙の間と短いセリフ。これが今回のトミー・リー・ジョーンズの味だ。「花より男子ファイナル」はうようよお客さんがいたけれど、ちょっとシリアスな映画もどうぞ。
「正義」という言葉があるけれど、一体「アメリカの正義」って何なのか、この映画はストレートに突きつけてきます。ずっと昔にマイケル・J・フォックス(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公)が主演の『カジュアリティーズ』という映画がありました。軍で起こった強姦事件を扱った映画でしたが、だいたいこういう映画は流行らないものです。この『告発のとき』もアメリカでは全然流行っていないそうです。でもこういう映画がきちんと作られるアメリカというのは表現の自由があってそれはすばらしいと思います。日本は建前では表現の自由がある国となっていますが実際はどうでしょう?
原題のIN THE VALLEY OF ELAH(エラの谷で)というのは旧約聖書サムエル記がもとになっています。ダビデとゴリアテが戦ったのがエラの谷です。さすがに『エラの谷で』という題名では日本人には分からないので『告発のとき』という題名になっていますね。聖書が生活に密着した国ではこの題名は「ああエラの谷ね〜」としっくりくるのでしょうね。ただ映画を観ないとなぜそこが引用されているのかは分からないんだけれども。それが分かったとき、このポール・ハギスっていう脚本家のうまさがじわじわっと分かるんだけれど。アメリカ映画って聖書を理解しておかないといけないのですよ。(TK)
2008年度劇場映画 独断と偏見のランク付け
1.インディー・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国
2.母べえ
3.ガチ☆ボーイ
4.潜水服は蝶の夢を見る(第60回カンヌ映画祭 監督賞/高等技術賞受賞)
5.靖国YASUKUNI
6.魔法にかけられて
7.テラビシアにかける橋
8.ヒトラーの贋札(アカデミー外国語映画賞)
9.JUNO/ジュノ(アカデミー脚本賞)
10.西の魔女が死んだ
11.ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(アカデミー主演男優賞/撮影賞)
12.イースタン・プロミス
13.君のためなら千回でも(アカデミー作曲賞)
14.アフター・スクール
15.アイ・アム・レジェンド
16.スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(アカデミー美術賞)
17.バンテージ・ポイント
18.4ヶ月、3週と2日(2007カンヌ国際映画祭パルムドール)
19.告発のとき
20.ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記
21.モンゴル
22.アメリカン・ギャングスター
23.クローバーフィールド
24.エリザベス:ゴールデン・エイジ(アカデミー衣装デザイン賞)
25.ライラの冒険 黄金の羅針盤(アカデミー視覚効果賞)
26.ノーカントリー(アカデミー作品賞/監督賞/助演男優賞/脚色賞)
27.つぐない(アカデミー作曲賞)
28.フィクサー(アカデミー助演女優賞)
29.onceダブリンの街角で(アカデミー歌曲賞)
30.アイム・ノット・ゼア
31.アウェイ・フロム・ハー君を想う
32.チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
33.シルク
34.エイリアンズVSプレデター