偉人に学べ〜世界の箴言、集めました〜
世界や人間の本質を熟知している人々の言葉には感動させられます。
実生活に役立つものも多いでしょう。
毎週火曜日は、世界の著名人が残した箴言(しんげん――いましめとなる短い句のこと)をその背景とともに紹介していきましょう。
偶然は準備のない者に微笑まない―――ルイ・パスツール
狂犬病などのワクチンの発見で有名なパスツールは、フランスのドールという町の革なめし職人の家に生まれました。
1843年にパリの高等師範学校へ入学して物理と化学の博士号を得ますが、当時の指導教官の一人の評価が「平凡」とあるように、周囲からは将来をまったく期待されていなかったようです。
パスツールが生物学・医学の分野へ進んだのは、パリ・アカデミーの懸賞課題を解答したことがきっかけといわれています。
「生命は自然発生するものか否か」という問題が出され、パスツールは白鳥の首の形をした密閉されたフラスコの中で肉汁が腐敗しないことを明らかにします。
つまり、腐敗をもたらす微生物は自然発生するのではなく、もともと空気中に混入していたことを証明したのでした。
その後、現在でも使われている低温殺菌法を確立したり、カイコの微粒子病や、コレラ、ジフテリアなどの原因をつきとめ、ワクチン治療の基礎を築きます。
そんなパスツールがはじめてワクチン治療を行ったのは1885年のことでした。
狂犬に噛まれた少年が彼のところに担ぎ込まれたのです。
既に狂犬病の原因がウイルスであることを掴んでいたパスツールは、少年にワクチン接種を行い、回復させました。
人々はこれを奇跡と呼んでパスツールを讃えましたが、彼にとっては入念な準備を行っていたために得られた当然の結果だったのでしょう。
それが冒頭のコメントです。
この成果によって、パスツールは狂犬病治療のための特別な研究所を任されるようになります。
これが後の「パスツール研究所」です。
ちなみに、これほどの成果を残したにも関わらず、パスツールはノーベル賞を授与されていません。
なぜなら、ノーベル賞が制定されたのが、彼の死後だったからです。
もしノーベル賞が彼の生きているうちにあれば、間違いなく受賞していたことでしょうね。(MH)