兵法書を読み解く〜古の知恵の宝庫をたずねて〜
生きることは戦うことと同じです。
それは古代の手に武器をとって戦う頃から変わることはありません。
毎週水曜日は、様々な兵法書からエッセンスをお伝えしていきましょう。
己を捨てて人を教うるは逆なり、己を正しうして人を化するは順なり。―――『三略』
自分のことを棚に上げて人を教えようとしても説得力がありません。
人を教化しようとするならば、まず自分の姿勢を正さなければなりません。
春秋時代、斉
の国の桓公が宰相の管仲にこぼしたことがありました。
「我が国は国土も狭く、資源にも乏しい。しかるに臣下の者どもはやたら贅沢に走り、衣服、車馬などを飾り立てている。
この際、贅沢を禁じたいと思うが、どうだろうか。」
管仲はこう答えました。
「それは結構なお考えです。
しかしながら、食事にせよ衣服にせよ、臣下は上に立つ王のやり方を真似ようとしています。
いま、わが君の召し上がるものはすべてこれ天下の珍味、身にまとうものもすべて最高級の品々ばかりです。
臣下が贅沢にふけるのも当然ではありませんか。
詩にも、『口先ばかりでは信用されない』とあります。
臣下の贅沢を禁じようとされるのなら、まずご自身から実行すべきです。」
桓公はさっそく質素な衣服をまとって廟堂に臨みました。
こうして、1年たつと、斉の国の気風は一新し、贅沢は影をひそめるようになったということです。(MH)