数学のススメ〜鶴亀算を振り返って〜
今回は、皆さんもよくご存知のあの算数問題に焦点をあてましょう。
鶴亀算は有名ですが、実は最初から鶴と亀ではなかったというのはご存知ですか?
この原形が今から1700年以上も前に書かれた中国の「孫子算経」という本に出ています。
「今有雉兎同籠、上有三十五頭、下有九十四足、問雉兎各幾何」
(同じ籠の中に雉と兎がいます。頭の数は35で、足の数は94です。雉、兎それぞれの数は幾らか)
このように最初は雉兎算だったのです。
この問題は、元・明時代になると鶏と兎に変わります。
雉より鶏のほうが一般庶民には身近な動物だったからだと思われます。
日本へ伝わって学ばれた明の時代の「算法統宗」(1592年)という本には、次のような問題になっています。
「今有鶏兎同籠、上有三十五頭、下有九十四足、問鶏兎各若干」
17〜18世紀の日本の算書は、雉兎のものや鶏兎のものもありました。
ところが、文化7年(1810年)に出版された坂部広胖の「算法点竄指南録」という本では次のように鶴亀に変わるのです。
「鶴亀合百頭あり、只云足数和して二百七十二、鶴亀各何ほどと問」
日本では古くから、鶴は千年、亀は万年といって縁起の良い動物とされていましたので、鶴亀に変えたのだと思われます。(MH)
数学ほど人知の力への信頼を強めてくれる学問はない。――――――(シュタインハウス)