兵法書を読み解く〜古の知恵の宝庫をたずねて〜
生きることは戦うことと同じです。
それは古代の手に武器をとって戦う頃から変わることはありません。
毎週水曜日は、様々な兵法書からエッセンスをお伝えしていきましょう。
良将の軍を統ぶるや、己を恕りて人を治む。―――『三略』
「良将が軍を統率するときには、深い思いやりの心をもって部下に臨む」
このような部下へのいたわりが効果を発揮した事例に、こんな逸話があります。
春秋時代の覇者の一人、楚の荘王が宋領の蕭という町を攻めたときのことです。
この戦いの発端は、楚の家臣が二人、蕭の側に捕えられ、「生かして返してくれるなら、軍を撤退しよう」と申し入れた。
しかし、相手が聞かずに殺してしまったところから、始まりました。
その陣中でのこと。
折からの寒さの厳しい季節で、重臣の一人が、「兵はみな寒さで震え上がっています」と訴えた。
すると荘王は、みずから陣中をくまなくめぐり、一人ひとりの兵士の肩をたたいてその労をねぎらったのです。
それによって兵士は勇みたちます。
みな先を争って城壁にとりつき、またたくまに蕭を陥落させてしまったのです。
当時こんなにまでして兵士をねぎらった王は、荘王以外には見当たりません。
「この人のためなら」と部下に思わせるのが、統率の原点なのかもしれませんね。(MH)