兵法書を読み解く〜古の知恵の宝庫をたずねて〜
生きることは戦うことと同じです。
それは古代の手に武器をとって戦う頃から変わることはありません。
毎週水曜日は、様々な兵法書からエッセンスをお伝えしていきましょう。
これを亡地に投じて然る後に存し、これを死地に陥れて然る後に生く。―――『孫子』
兵士を絶体絶命の窮地に追い込み、死地に投入してこそ、初めて活路が開けるという話です。
追い詰められた人間ほど強いものはいません。
「火事場の馬鹿力」という言葉にも表わされるように、潜在能力を発揮する可能性さえあるのです。
兵法書『六韜』の中に、面白い人材活用法が紹介されています。
「勇士を選抜して部隊を編制するには、どうすればよいか」
という王からの問いかけに対して、太公望がこう答えています。
「権勢の座を失い、それをとりもどすために功績を立てたいと願っている者を集めて一隊とし、『死闘の士』と名付けます。
入り婿や捕虜で、恥辱を埋めあわせるために名誉を手に入れたいと思っている者を集めて『励鈍の士』とします。
軍功を立てて恥を雪ぎたいと願っているものを集めて『幸用の士』と名付けます。」
彼らはいずれも「精神的な死地」にある者と言ってよいでしょう。
優秀な指揮官にとって、まさに使いでのある人材になりうるのかもしれません。
また、単に人に対してではなく、自分自身を死地に追い込んで頑張らせるという使い方もできそうですよ。(MH)